SUGAI DENTAL CLINIC KAMAKURA SUGAI DENTAL CLINIC KAMAKURA

SUGAI DENTAL CLINIC KAMAKURA

Case

上顎前歯部の骨造成を伴うインプラント治療の15年間長期経過観察症例
  • インプラント症例

左上中切歯欠損部に根長1/2程度の骨欠損を認める症例である。インプラント治療を希望するも現状では適応ではなく、最初に骨造成を行いその後インプラント治療に移行することとした。骨造成後1年を待ってインプラントを埋入した。インプラント埋入15年目まで機能的にも審美的にも問題なく移行している。初診時からの徹底したプラークコントロール、自己管理を相当きつく指導してきた結果、口腔内は長期に渉り良好な経過を辿る。3年経過後、インプラント周囲軟組織に発現した炎症症状、カスタムアバットの歯肉縁下部のプラークの付着による初期ぺリインプランタイティス(インプラント周囲炎)が認められた。口腔内のプラークコントロールが良くなければならないことは周知の事実であるが、カスタムアバットを用いた場合、主治医による綿密な定期検査時に患者自身には管理が困難なエリアの管理が必須である。

  • 治療前
    上顎前歯部(21)に大き目の骨欠損を認める。当該部位にインプラント治療を計画した。2ステージに分割し、先ず1st.stageにて水平的骨造成、リッジオギュメンテーションを実施した。その後、骨造成の結果を踏まえ、2nd.stageにてインプラントの埋入を行った。
  • 治療後
    15年後  骨造成した歯槽骨も若干の退縮は有るものの、審美的、機能的に十分満足できる状態にある。
患者様基本情報
  • 年代 40歳代
    性別 男性
  • 主訴 入れ歯が食べにくい。みっともないし恥ずかしい。入れ歯が食べにくい。みっともないし恥ずかしい。
  • 自覚症状 入れ歯が話していると外れる。食事時に食べ物が出てくる。
  • 治療期間 1年10ヶ月
    通院回数 30回
  • 治療費用 120万円位 (1st,stage 骨移植含む)
治療経過

骨造成終了後、インプラント手術 2次オペ 水平的骨造成1年後、骨欠損部の骨造成後唇側歯槽骨は十分に回復しており通法に従ってインプラントを埋入し、2次オペへと進んだ。

最終補綴物装着時 インプラント治療終了時 2次オペ終了後、最終補綴処置に移行した。若干、歯肉辺縁の位置が低く歯冠長が感じられるが、おおむね良好である。
1年経過後 正面観及び外冠撤去後のインプラント内観写真 変化なく。よく管理されている。
3年経過後 正面観及びインプラント口蓋 インプラントの口蓋マージン部の歯肉に若干の炎症症状が認められた。
上部構造のクラウンとアバットを外した状態。 インプラント周囲軟組織は発赤、腫脹を呈しており、外したアバットの縁下部分にはプラーク、歯石が沈着していた。
デブライドメントとアバットのクリーンアップ 局所麻酔下にて軟組織の掻把を行いアバットも沈着物の除去を含むクリーンアップを行った。
処置後1年のアバットメントの状態 アバットメント周囲の軟組織には炎症症状は認められない。染め出し後の状態であるが自己管理は成されておりプラーくコントロールレコードは一桁%であった。
8年後の状態 レッドコートによる染め出し後の状態 高いレベルで自己管理成されており良好な状態を保っている。
インプラントアバットメント除去後の状態 アバットメント撤去後の同部位の歯肉縁下の内縁上皮には炎症症状は認められず良好な状態を保っている。
13年後の同部位の状態 アバットメント歯肉縁下内縁上皮には若干の発赤が認められるがそれ以上の症状は認められず アバットのクリーンアップのみ行った。
15年後の状態 患者の高いレベルでの自己管理もあり安定した状態で維持されている。
15年後 レントゲン写真にて若干のは杯状吸収は認められるものの大きな変化はなく 状態は安定しており、患者の自己管理能力の高さをあらわすものである。

インプラント治療終了時と15年後の比較
15年間の間、若干の炎症性変化を認めたものの大きなトラブルも無く経過している。徹底した自己管理と定期健診の確実な実施の賜物である。

15年目のレントゲン写真 当該インプラント部に若干の杯状吸収が認められるが大きな問題はない。また、歯冠側方向への 軟組織のクリーピングも認められる。
この症例の治療のメリットについて

上顎前歯部であり機能的、審美的にも大きい影響を及ぼす部位である。また、患者の年齢から、将来的な患者のQOLを考慮しても、今回のインプラント治療は非常に有用でメリットの大きいケースであると考える。

この症例の治療のデメリットについて

骨造成を伴うケースであり、待機時間が非常に長くなった。